等級制度とは?仕組みと保険料への影響をわかりやすく解説

📌 この記事のポイント

  • 等級は1〜20等級の20段階。等級が高いほど保険料が安くなる
  • 新規契約は6等級からスタート。1年間無事故なら翌年1等級アップ
  • 事故で保険を使うと3等級ダウン+「事故有係数」で保険料が大幅に上がる
  • 20等級なら保険料が最大63%割引。1等級なら64%割増
  • 等級は保険会社を変更しても引き継がれる

この記事はこんな方向けです

✓ 等級制度の仕組みを基礎から知りたい方
✓ 自分の等級が保険料にどう影響しているか知りたい方
✓ 事故を起こした場合に等級がどうなるか知りたい方
✓ 等級を効率よく上げたい方
✓ 保険会社を変えるときに等級がどうなるか心配な方


等級制度とは

自動車保険の等級制度(正式名称:ノンフリート等級別料率制度)は、契約者の事故歴に応じて保険料を割引・割増する制度です。

簡単に言えば、「無事故の人は保険料が安くなり、事故を起こした人は高くなる」 という仕組みです。

等級制度の基本ルール

ルール内容
等級の範囲1等級〜20等級の20段階
新規契約6等級からスタート
無事故(1年間)翌年1等級アップ
事故で保険を使う1事故につき3等級ダウン(3等級ダウン事故の場合)
一部の事故1等級ダウンまたはノーカウント

💡 等級は「保険のクレジットスコア」のようなものです。 長年無事故を続けるほど等級が上がり、保険料が安くなっていきます。


等級別の割引率・割増率一覧

以下の表は、等級ごとの割引率(または割増率)です。「無事故」と「事故有」で割引率が異なるのがポイントです。

等級別割引率・割増率(2026年度基準)

等級無事故係数(割引/割増率)事故有係数(割引/割増率)
1等級+64%(割増)+64%(割増)
2等級+28%(割増)+28%(割増)
3等級+12%(割増)+12%(割増)
4等級▲2%(割引)▲2%(割引)
5等級▲13%(割引)▲13%(割引)
6等級▲19%(割引)▲19%(割引)
7等級▲30%(割引)▲20%(割引)
8等級▲40%(割引)▲21%(割引)
9等級▲43%(割引)▲22%(割引)
10等級▲45%(割引)▲23%(割引)
11等級▲47%(割引)▲25%(割引)
12等級▲48%(割引)▲27%(割引)
13等級▲49%(割引)▲29%(割引)
14等級▲50%(割引)▲31%(割引)
15等級▲51%(割引)▲33%(割引)
16等級▲52%(割引)▲36%(割引)
17等級▲53%(割引)▲38%(割引)
18等級▲54%(割引)▲40%(割引)
19等級▲55%(割引)▲42%(割引)
20等級▲63%(割引)▲44%(割引)

💡 注目ポイント: 7等級以上では「無事故」と「事故有」で割引率に大きな差があります。たとえば15等級の場合、無事故なら51%割引ですが、事故有だと33%割引。この差は18ポイントもあり、保険料にすると年間1万〜2万円以上の差になります。


等級の上がり方・下がり方

無事故の場合:毎年1等級アップ

1年間保険を使わなければ、翌年の等級が1つ上がります。

例:新規契約から20等級に到達するまで

6等級(新規)→ 7 → 8 → 9 → 10 → 11 → 12 → 13 → 14 → 15 → 16 → 17 → 18 → 19 → 20等級
         1年  2年  3年  4年   5年   6年   7年   8年   9年  10年  11年  12年  13年  14年

新規契約(6等級)から最高の20等級に到達するには、14年間の無事故が必要です。

事故で保険を使った場合:3等級ダウン

事故で車両保険や対物賠償保険を使うと、翌年の等級が3つ下がり、さらに「事故有係数」が3年間適用されます。

例:15等級の人が事故で保険を使った場合

等級係数タイプ割引率
事故前15等級無事故▲51%
事故翌年(1年目)12等級事故有▲27%
2年目13等級事故有▲29%
3年目14等級事故有▲31%
4年目15等級無事故に戻る▲51%

事故有係数が適用される3年間は、同じ等級でも割引率が低くなるため、保険料が大幅に上がります。元の等級に戻るのに3年、元の割引率に戻るのにも3年かかります。

事故の種類と等級への影響

すべての事故が3等級ダウンになるわけではありません。

事故の種類等級への影響事故有係数の適用期間
3等級ダウン事故3等級ダウン3年間対人事故、対物事故、自損事故(車両保険使用)
1等級ダウン事故1等級ダウン1年間盗難、台風・洪水、いたずら、飛来物(車両保険使用)
ノーカウント事故影響なしなし人身傷害保険のみ使用、弁護士費用特約のみ使用、ロードサービスのみ使用

💡 重要: 台風や盗難で車両保険を使った場合は「1等級ダウン事故」です。自分に過失のない自然災害でも等級は下がりますが、3等級ダウンではなく1等級ダウンで済みます。


事故有係数とは

2012年から導入された「事故有係数」は、等級制度の重要なポイントです。

事故有係数の仕組み

同じ等級でも、「無事故の人」と「事故を起こした人」で割引率が異なります。

例:12等級の場合

  • 無事故係数:▲48%割引
  • 事故有係数:▲27%割引
  • 差:21ポイント

この差は非常に大きく、保険料に換算すると年間1万〜3万円以上の差になることがあります。

事故有係数の適用期間

事故の種類事故有係数の適用期間
3等級ダウン事故3年間
1等級ダウン事故1年間
ノーカウント事故適用なし

事故有係数の適用期間は、無事故を続けることで1年ずつ減っていきます。3等級ダウン事故の場合、3年間の無事故で「無事故係数」に戻ります。

💡 事故有係数適用期間の上限は6年間です。 複数回事故を起こした場合、事故有係数の適用期間が加算されますが、最大6年間が上限です。


保険を使うべきか?損得シミュレーション

小さな事故の場合、保険を使わずに自費で修理した方がトータルで得になるケースがあります。

シミュレーション①:15等級・修理費10万円の場合

保険を使った場合の保険料増加額(3年間の合計):

等級と係数保険料の増加分(年間・概算)
1年目12等級・事故有+約20,000円
2年目13等級・事故有+約18,000円
3年目14等級・事故有+約16,000円
3年間合計+約54,000円

判断: 修理費10万円に対して、保険料の増加は3年間で約54,000円。差額は約46,000円ですが、等級回復のために元の割引率に戻るまでさらに時間がかかることを考えると、修理費10万円程度なら自費修理を検討する価値があります。

シミュレーション②:10等級・修理費30万円の場合

保険を使った場合の保険料増加額(3年間の合計):

等級と係数保険料の増加分(年間・概算)
1年目7等級・事故有+約22,000円
2年目8等級・事故有+約20,000円
3年目9等級・事故有+約18,000円
3年間合計+約60,000円

判断: 修理費30万円に対して保険料の増加は約60,000円。差額は24万円あるため、修理費30万円なら保険を使った方が得です。

判断の目安

修理費判断
10万円以下自費修理を検討(保険を使わない方がトータルで得な可能性が高い)
10万〜20万円具体的に計算して判断
20万円以上保険を使った方が得

💡 保険会社に相談しよう: 事故を起こしたら、まず修理費の見積もりを取り、保険会社に「保険を使った場合の翌年以降の保険料」を確認しましょう。多くの保険会社は、使うか使わないかの判断をサポートしてくれます。


等級を守るためのコツ

コツ1:小さな事故は自費修理を検討する

前述のとおり、修理費が少額なら保険を使わない方がトータルで得になるケースが多いです。

コツ2:ドライブレコーダーを設置する

万が一の事故時、ドライブレコーダーの映像があれば、相手方との過失割合交渉で有利になることがあります。自分の過失が小さければ、保険を使わずに済むケースもあります。

コツ3:安全運転支援技術を活用する

自動ブレーキ(AEB)、車線逸脱警報、ブラインドスポットモニターなど、事故を防ぐ技術を積極的に活用しましょう。

コツ4:事故を起こしたら冷静に判断する

事故後すぐに保険を使うと決めるのではなく、修理費の見積もりを取ってから判断しましょう。


等級の引き継ぎ:保険会社を変えても大丈夫?

保険会社間の等級引き継ぎ

等級は保険会社を変更しても引き継がれます。 これは、すべての損害保険会社が加盟する「損害保険料率算出機構」を通じて等級情報が共有されているためです。

ケース等級の引き継ぎ
代理店型 → ダイレクト型○ 引き継がれる
ダイレクト型 → 代理店型○ 引き継がれる
ダイレクト型 → 別のダイレクト型○ 引き継がれる
A損保 → B損保○ 引き継がれる

💡 安心ポイント: 「ダイレクト型に変えたら等級がリセットされるのでは?」という心配は不要です。20等級の人がダイレクト型に変更しても、20等級のまま引き継がれます。

等級の引き継ぎができないケース

ケース説明
満期後13ヶ月以上経過等級がリセットされ、6等級(新規)からスタート
共済から損保への変更(一部)共済によっては等級の引き継ぎができない
海外の保険からの変更海外の等級は日本では引き継げない

等級の中断制度

車を手放す(廃車・譲渡・売却)場合、等級を最大10年間「中断」できる制度があります。

中断証明書の取得方法:

  1. 車を手放す(または車検切れになる)
  2. 保険の満期日または解約日から13ヶ月以内に、保険会社に中断証明書の発行を依頼する
  3. 中断証明書を保管する
  4. 再度車を購入した際に、中断証明書を使って中断前の等級で契約を再開する

💡 転勤や留学で一時的に車を手放す方は、必ず中断証明書を取得しておきましょう。 せっかく積み上げた等級を無駄にしないために重要です。


家族間の等級の引き継ぎ

等級を家族に譲れる

自動車保険の等級は、一定の条件を満たせば家族間で引き継ぐことができます。

引き継ぎ可能な範囲:

  • 配偶者
  • 同居の親族

引き継ぎの例:

お父さん(20等級)が車に乗らなくなり、同居のお子さん(新規6等級)が新しく車を購入する場合、お父さんの20等級をお子さんに引き継ぐことができます。

メリット:

  • お子さんが6等級からスタートする場合と比べて、保険料が大幅に安くなる
  • 20等級なら63%割引、6等級なら19%割引 → 割引率の差は44ポイント

💡 注意: 等級の引き継ぎは「同居」が条件です。お子さんが別居(一人暮らし、結婚して別世帯)の場合は引き継ぎできません。お子さんが免許を取得したら、同居しているうちに等級の引き継ぎを検討しましょう。

セカンドカー割引(複数所有新規割引)

家族が2台目の車を購入する場合、「セカンドカー割引」を使えば、通常の6等級ではなく7等級から契約をスタートできます。

条件:

  • 1台目の保険の等級が11等級以上
  • 2台目の車の所有者が1台目と同じ、または同居の家族

7等級スタート(30%割引)は6等級スタート(19%割引)と比べて11ポイント有利です。


等級制度のQ&A

Q1. 等級制度はすべての保険会社で共通ですか?

A. はい、等級の段階(1〜20等級)と基本的な仕組みはすべての損害保険会社で共通です。ただし、等級ごとの割引率は保険会社によってわずかに異なる場合があります。

Q2. バイクの保険と車の保険の等級は別ですか?

A. はい、自動車保険とバイク保険の等級は別々に管理されます。車の等級が20等級でも、バイクの保険は6等級からのスタートです。

Q3. 2台の車を持っていますが、等級はそれぞれ別ですか?

A. はい、車ごとに別々の等級が管理されます。1台目が20等級でも、2台目は別の等級です(セカンドカー割引を使えば7等級スタート)。

Q4. 等級が1等級や2等級になると、保険に入れなくなりますか?

A. 契約を断られることがあります。特に1等級の場合、多くの保険会社で引き受けを拒否されることがあります。1〜5等級の場合は、引き受け可能な保険会社が限られるため、代理店に相談するのが良いでしょう。

Q5. ゴールド免許割引と等級制度は別物ですか?

A. はい、別の制度です。等級は事故歴に基づく割引で、ゴールド免許割引は免許の色に基づく割引です。両方の割引が同時に適用されます。

Q6. 等級が高い(20等級に近い)のに、保険料が高い気がします。なぜですか?

A. 等級割引以外にも、保険料を決める要素はたくさんあります。年齢、車種(型式別料率クラス)、補償内容、走行距離、地域などが影響します。20等級でも車両保険のグレードや補償額が高ければ、保険料は高くなります。等級が高いのに保険料が高い場合は、一括見積もりで他社と比較することをおすすめします。


まとめ:等級制度を味方につけよう

等級制度のポイントをおさらいします。

ポイント内容
等級は1〜20の20段階高いほど保険料が安い
新規は6等級スタート無事故なら毎年1等級アップ
事故で保険を使うと3等級ダウン+事故有係数が3年間適用
20等級で最大63%割引14年間の無事故で到達
保険会社を変えても等級は引き継がれるダイレクト型への変更も安心
小さな事故は自費修理の検討を保険を使うかどうかは計算して判断

等級は長年の無事故の証です。 一度の事故で大きく下がってしまうため、安全運転を心がけるとともに、小さな事故では保険を使わない判断も重要です。